斎藤元彦県政は既得権益と戦っているのか
2025.07.31
目次
外郭団体への天下り構造の継続
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井戸県政(1996〜2021年)でも、外郭団体への再就職は年平均で40〜50%にのぼっていた。
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斎藤県政(2021〜)では、直近2年(2023年7月〜2025年6月)で本庁課長・室長級112人中64人(57.1%)が外郭団体または関係団体に再就職。
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特に県が出資・補助する22の外郭団体に45人、県競馬組合などの関係団体に19人が再就職しており、いずれも典型的な天下り先。
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あっせんは「県退職者人材センター」を経由して行われ、直接交渉は禁止されているが、これは制度的に合法化された天下りといえる。
透明化と制度改革の比較
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井戸県政では、再就職情報の公表は原則非公開で、議会追及時に一部開示される程度だった。
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斎藤県政では制度として年次の再就職実績が公表されているが、構造的な天下りが温存されている実態が変わったわけではない。
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公益通報制度に関しても、2025年7月の会見で「三号通報は保護対象だった」と認めながらも、県としての対応は適切であり再調査はしないと発言。制度を有名無実化している。
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記者会見では、兵庫記者クラブ所属記者の排除などが問題視されており、形式的な透明化の一方で、実質的な説明責任の後退も見られる。
県政スタイルと支持基盤の違い
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井戸県政は古典的な官僚調整型で、地味で分かりづらい運営だった。
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斎藤県政は「若さ」「情報発信」「広報感覚」などのイメージ戦略を重視し、SNS発信・PRイベント活用などを多用する広報型。
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支持基盤は井戸時代が自民・公明だったのに対し、斎藤県政は維新+自民の“二重支持”。「改革派」イメージを維新系の支持層が強調している。
「見せかけ改革」と実態のギャップ
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井戸県政では批判されやすかった既得権益構造が、斎藤県政では「制度化」「透明化」されたように見せかけられている。
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実際には、外郭団体構造も、再就職のルートも、利権の再配分構造も本質的には変わっていない。
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よって「斎藤は井戸よりクリーン」「既得権益と戦っている」という評価は、数字と構造の面からは成り立たない。
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