• 玄海原発ドローン侵入疑惑に林官房長官が言及「特定には至らず」

玄海原発ドローン侵入疑惑に林官房長官が言及「特定には至らず」

2025.07.28

目次

ドローンか?光る飛来物を原発上空で複数目撃

概要:佐賀県玄海原発での「光る物体」目撃と政府発表

  • 2025年7月26日午後7時20分頃、佐賀県東松浦郡玄海町にある九州電力玄海原子力発電所の敷地上空で、「ドローンのような光る飛行物体」が複数確認された。
  • 確認されたのは、関係者の通報によって敷地内の監視カメラ等を通じて検知された「光る物体」3点。位置的には第3号機付近を含む敷地の中心部上空だったとされる。
  • これを受けて、警察・自衛隊・原子力規制庁などが連携して上空を捜索したが、「飛行物体の発見・特定には至っていない」と林官房長官は27日の記者会見で述べた。
  • 林長官は「現時点で原子力発電所への影響、人的被害は確認されていない」と述べた上で、九州電力および関係自治体との連携を強化して警戒を継続すると発表した。

施設の安全性と政府の初動対応

  • 林長官によると、施設の安全性に問題はなく、すでに九州電力と原子力規制庁により保安措置が取られていたことが確認されている。
  • しかし、「飛来物の正体」が不明である以上、偶発的・意図的いずれのリスクも排除できないという不安が周囲住民に広がっている。
  • 特にドローンが原発の敷地上空に侵入した可能性があることは、過去のテロ対策やドローン規制の不備を想起させるもので、政府の情報公開姿勢にも注目が集まった。
  • 林長官は「引き続き警察と連携して、現場の状況確認および必要な対処を行う」としているが、検証結果や詳細情報の開示時期は明言されていない。

背景:日本国内の原発におけるドローン対策の現状

  • 原子力発電所は「重要施設」に指定され、敷地上空は小型無人機(ドローン)飛行禁止区域に指定されている(改正航空法2021年施行)。
  • しかし、違反が発生した場合の即時特定・撃墜の権限や技術的手段には限界があり、「飛行物体の特定に至らないケース」は過去にも発生している。
  • ドローン飛行が目撃されたが確認されなかった例として、2019年の東海第二原発(茨城県)や2022年の福井県・高浜原発でも同様の事例が報告されている。
  • 今回のような「確認→捜索→不明」の流れは、ドローン規制とテロ対策の実効性に課題を残すものであり、制度や装備の見直しが求められている。

コメント:可視化されない脅威と社会の信頼

  • 今回の玄海原発における「ドローンらしき光る飛来物」は、現代のテクノロジー犯罪やテロリスクがどこまで深刻かを可視化した象徴的な出来事である。
  • 原発という高度なセキュリティが求められる施設で、未確認の飛行物体が侵入できた可能性があるという事実は、制度や技術的対応に空白があることを意味する。
  • また、政府が「安全に問題なし」とする姿勢を貫く一方で、詳細情報を開示しない体質は、逆に不信を助長する構造的リスクを抱えている。
  • 警察や自衛隊の監視能力、飛行物体の検出・特定技術の限界、さらには原発の立地周辺住民との信頼関係が問われる局面に入っている。
  • 今後、原子力施設に対する「目に見えない脅威」への法制度と技術の両輪でのアップデートが急務であることは間違いない。

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